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六本木ストーリー 第五話「奇跡」

 

この時僕は52歳くらいだったと思う。ずっと現場に立ち続けることが一番良い事だと思っていた。実際に55歳くらいまでは毎日現場に立っていた。

一番良い事をしてるのに何故うまくいかないのか?
わからない…

商売をしていた両親の背中を見て育った。毎日休まず働けば必ず報われると信じていた。
それが音もたてずにすっと消え去ろうとしていた。

なんだか
胸というか心臓というか
そこにある魂みたいなものが
ふっと落ちてしまう。
ふっと落ちて力尽きてしまう。
そんな感じがしてた。

 

 

そんなこんなで
毎日
毎日
休まず
ヒルズ店で焼いていたのです。
それしかやってこなかったし、それしかできなかったのです。
そんな自分が情けなくもあったのですが。。。。

頭の中は
イズム…
社訓…
行動指針…
就業ルール…

社長業って?
どげんしたらよかとかいな?

でも、今日までこれでやってこれたわけやし…

そんな事を考えながら
悩みながら
毎日、毎日、
焼とりを焼いていました。
毎日毎日、休まず働けは必ず道は開ける!と。。。

 

東北復興支援活動での力石先生、右端に八島

 

そんなある日
日本のホスピタリティの第一人者の力石先生からゴルフのお誘いがありました。
東京のロイヤルホストを立ち上げられた方でもあるのです。
新軽井沢に行こうよと。
おおお!あの超名門やないすか!
白洲次郎さんがメンバーだった!
白洲次郎さんが田中角栄さんの服装がよくないからその服装ではゴルフはさせないよと注意したあのゴルフ場ですね!
行きます‼️

気分転換どころかテンション上がってしまってまして。


「先生、他のメンバーさんはどちら様ですか?」
先生
「メンバーはね、喫茶店のオヤジとパン屋さんのオヤジだよ。」

「あら、私も焼とり屋のオヤジですからそれはオヤジ会すね!はははっ!」

そのメンバーさんと新幹線のホームで待ち合わせて乗り込みました。

まあ、最初は軽く自己紹介するわけですよね、それからまあ会話の流れとしてはこうなるわけでして。


「どちらで喫茶店やられてるのですか?」
喫茶店のオヤジさん
「逗葉あたりだよ。逗子葉山だね。」

「ああ、そうですか、まだその辺りは行ったことがなくてですね。いい所ですよね!
今度行ったときには必ず寄らせていただきますね。コーヒー好きなんですよ。ははは〜」

「パン屋さんはどちらですか?」
パン屋さんのオヤジ
「広島です。けど、都内にも出張所がありまして」

なんて会話をしばらく続けていると私以外の御三方は仕事の話に…

うん?
なんかおかしい。
そう言えば
喫茶店のオヤジさんはやけに品があってカッコいいやないか。
パン屋さんは凄いやり手で育ちの良さそうな人やないか。

新幹線の売り子さんからコーヒーを買って皆さんで飲んでいるときの会話

パン屋さんが喫茶店のオヤジさんに
「角田さんも外でコーヒー飲まれるのですね」
「そりぁ、飲むよ」
と。

つのださん?コーヒー?
つのだ…

どこかで見覚えのあるお顔…

ああああーーーーーー!
スターバックスジャパン会長(当時)の
角田雄二さんやないすか?!

パン屋さんは
高木さん…
広島…
都内にも出張所…

アンデルセンパンの高木さん?!

ああああーーーーーー!

 

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